[amazonjs asin=”4042750052″ locale=”JP” title=”ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)”]
人はいつも他の人たちを助けたがるものだ。
何度も同じことばかり繰り返す自分や他人にうんざりしてしまう。でもある晴れた日に、人生とはそういうもので、心配する意味なんかなくて、何も変わらないんだという結論に達する。そして私は全てを受け入れる。
自分の世界に住んでる人はみんな狂ってることになるのよ。人とは違うだけでね。
時間も空間もなく、あるのはその二つを合わせたものだ。
ずっと狂っていたいと思ってるの。自分の夢みたように、人生を生きたいの。他の人に言われるがままではなくてね。
彼らは自分が普通だと思ってるの。みんな同じ行動をとってるから。とにかく、わたしはみんなと同じ井戸から水を飲んだふりをするだけよ。
わたしは今ここにいて、残りの人生の日々も数えられるほどなのに、今まで会ったこともなく、もう二度と会うこともない人たちからの中傷に意味を与えてしまっている。そしてわたしは苦しんで落ち込み、彼らを攻撃して、自分を守りたいと思ってしまう。時間を無駄にすることなんてないのに。
人生でしたいことをほとんどやり遂げたとき、彼女は、自分の存在にはもう意味がないという結論に達した。毎日が同じだからという理由で。そして彼女は死ぬことにした。
狂気とはね、自分の考えを伝える力がないことよ。だからわたしたちはみんな、なんらかのかたちで、狂ってるのよ。
クスリを飲んだ時、わたしは嫌いな人を殺そうと思ったの。自分の中に別の自分が存在してるなんて知らなかったの。わたしにも愛せる自分が。
彼女は友だちのみんなに、人も羨むような女性という印象を与えたが、自分で作り上げた虚像に合わせて行動することにエネルギーの大半を費やすようになっていた。
誰か人生によりオープンな人が登場すると、彼らはすぐに拒絶するか、自分よりも劣るものと見なしてその人を苦しめた。”無邪気だ”とけなして。
ただ愛し、受け入れ、問題を回避する道を探し、衝突を避けるよう育てられてきた人々。
おもしろく、異常で、好奇心旺盛で、勇敢で、毅然としている、何百という自分。
見返りを期待しない愛情は、彼女を罪悪感と相手の期待に応えたいという欲求で満たした。そのために自分が夢見てきたことを全て諦めることになったとしても。それは、世の中に存在する困難や堕落から、彼女を庇おうとするような愛だった。いつか、彼女がそれらのことに直面し、その時には全く身を守れなくなるだろうということを無視して。
彼女はやっと否定的な感情をおもてに出すことができた。もう何年も自分の心の中に抑えつけてきた感情を。
人は幸せであればあるほど、不幸せなものなんだ。
「もっと狂っとけばよかったわ」
でも、他の多くの人と同じように、彼女はそれに気づくのが遅すぎた。実際、誰もが狂っていて、一番狂ってる類の人たちこそ自分が狂ってることに気づいていなくて、他人に言われたことを何度も繰り返すような人たちなのよ。
本当の”わたし”とは、あなたがどんな人なのか、人が考えていることではなく、まず自分が何であるのかということ。
誰もが夢を見るけれど、実際に夢を実現できるのはほんの一握りだ。それで人は臆病になるんだ。正しい人は、臆病がただ一番強い人ってだけなんだ。この場合、矛盾してるが、臆病な人ほど勇ましくなって、彼らは他の人たちみんなにその考えを押し付けてしまおうとするのさ。
彼の想像では、乱交は、快感と混乱だけで、もはや所有欲どは存在しない、どこか完全な無法状態で、快楽に満ちたものだった。
誰もが、何ごとに対しても自分の理論を持っていて、自分の真実だけが大事だと信じていた。よくも悪くも、アイデアというものは、誰かが実践して初めて存在し得るものだという事実を永遠に受け入れることもなく。
失うものは何もないわ。多くの人は愛そうともしないから。たくさんのことが危険に曝されるから。たくさんの未来と、たくさんの過去も。
わたしの魂はひとつだって分かってるわ。自分の人生には意味があるから。
狂気がわたしを自由にしたの。わたしに危険な山を登らせるのよ。わたしは生きている危険を感じたいから。
もし無理して自分を人と同じようにしようとするならね。それが神経症、精神病、パラノイアを引き起こすんだ。人が自分の本質に逆らうのは、人と違ってもいいという勇気に欠けてるからで、そうしたら、器官はヴィトリオル、憂鬱を生み出すんだ。
人は一緒にグループを作り、その凡庸な存在を、なにか変わったことに邪魔されないように壁をつくるの。そうすることに慣れていることだけ行なって、意味のないテーマについて勉強して、楽しむべきだと思われるから楽しむの。そして、他の人たちのことは、ただなんとなく生きて、勝手にやってればいいと放っておくの。彼らは、わたしたちもしているように、問題や不正だらけの世界の中で自分たちの幸せを裏づけるものとして、テレビでニュースを見るの。
冒険の危険には、千日分の安らぎも安心も敵わないから。
愛は知恵の上に位置するんだ。彼女にとっては、全てが霊感なんだ。彼女は何が善で何が悪かなんて判断する気もないんだ。
他人が自分のことをどう思ってるかなんて気にもしなかったのよ。
彼女は頭がおかしいんだ。
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